ブレンドテーマは
「フィトケミカルの恵みで美しく」
 
　クレオパトラも愛飲していたという逸話があるほど、美容に高い効果があるハイビスカス。
ハーブティに使うのは南国に咲くハイビスカスの花ではなく、ローゼルという植物です。
花ではなく、種を包む紅色の萼(がく)を乾燥させてお茶に用います。この紅色がアントシアニン色素。
抗酸化力が高く、今注目されているフィトケミカルの一つです。
フィトケミカルとは、ハーブや花の癒やされる香りや花の美しい色を生み出す化学物質。
私達の心を癒やしてくれる花の美しさや香りは、植物にとっては大事なコミュニケーションツールでもあります。
自分で動くことができない植物は、香りを発することで昆虫にメッセージを送り花粉を運んでもらいます。
また、敵となる害虫に攻められたとき、仲間に危険を知らせるのも香りの大事な役割です。
さらには、天敵が嫌いな香りを出して敵を退散させることもできます。
植物にとって、香りとは生きていくための大事な機能というわけです。
このフィトケミカルのはたらきをうまく使ったのが遺伝子組み換えトウモロコシ。
ハーブのオレガノの香りは、とうもろこしの天敵を追い払う力があります。このオレガノの香り成分であるフィトケミカルをとうもろこしの遺伝子に入れ込むことで、とうもろこしの収穫量が格段にあがりました。フィトケミカルは、植物にとってのメッセージ物質だということがわかります。
 
私達の心身は、体内ネットワークが張り巡らされています。
脳を介さずに内臓同士、筋肉と脂肪、細胞同士がそれぞれメッセージをやりとりし連携を取ることで健康に過ごすことができています。
 
私達の心身のコミュニケーションツールの一つがホルモンです
。
東洋医学では、不調はバランスの乱れが原因だといいますが、このバランスを保ってくれているものがホルモンということもできます。
 
私達の心身バランスは今乱れています。
緊急事態宣言、生活スタイルの急変、新たな感染症への不安感などが原因です。
 
この大変化のなかでもたくましく、自分らしく生きていくために植物のフィトケミカルが役立ちます。
植物がもつメッセージ物質は、私達の体内のネットワークと整える力を持つのです。
色鮮やかなフルーツや野菜類、香り高いハーブはフィトケミカルの宝庫。
今回はそのなかからハイビスカスを選びました。
ほんのりピンク色のお茶にはビタミンやミネラル、フィトケミカルがたくさん含まれています。
不安を感じたときいつもの調子がでないとき感情がみだれたときに飲んでいただくと乱れたバランスが整い、いつもの自分を取り戻せるように思いを込めてブレンドいたしました。
 
ブレンド素材①
釜炒り茶 
　ハイビスカスとの相性がいいベース茶が釜炒り茶です。独特な酸味を軽やかにし、スーッと体内に吸収させてくれます。ほのかな苦味は、カラダの中にこもった熱をクールダウンする力を持ちます。暑い日ほど飲んでいただきたい緑茶ですが、その中でも釜炒り茶は胃に優しいので暑さで食欲がダウンしているときにもおすすめできるもの。長雨が続いた今夏、私達の胃腸は思っている以上に弱っています。釜炒り茶の優しい苦味は、弱っている消化器を優しく癒やしてくれる力をもちます。
 
ブレンド素材②
ハイビスカス 
　生薬としては洛神花という名を持ちます。自律神経を整え、体内の熱を冷ましてくれる効能があります。ほのかな酸味が特徴ですが、この酸味はストレスを癒やしてくれる五味でもあります。ただ、胃腸が弱いときには酸味は負担になるのですが、甘味と組み合わせることで胃腸への負担を和らげました。ハイビスカスの酸味と相性のいい甘味を試したところ、ステビアとのまとまりが非常によかったです。 ローゼルの萼を取り去ると、種を包む硬い殻が現れます。この殻を乾燥させると、ゴマのようにパカッと割れて小さな種たちがたくさん出てきます。きれいな五角形の殻を見ながら、ここにも五行があるなぁと自然の法則にうっとり。五行とは、体内のバランスが大事だよと教えてくれる自然哲学なのです。
 
ブレンド素材③
ステビア 
　天然ハーブのステビアを使いました。ステビアは、自然な甘さが特徴です。
日本は非常に湿度が高いため胃腸の消化力が低下し、甘いものを欲するようになります。
しかし砂糖は消化が非常に悪い食品のため、砂糖を摂ると胃腸がさらに弱まってしまいます。
そんなときに活用できるのが植物の自然な甘味です。
ステビアは、砂糖への欲求を鎮めてくれるのです。薬膳では、酸味と甘味を同時に取ることを酸甘化陰といいます。
体に必要な潤いをしっかりと与えてくれるという意味があります。